急性中耳炎(きゅうせいちゅうじえん)

急性中耳炎は、特に小児に多く見られる耳の疾患で、激しい耳痛や耳漏を主な症状として現れます。この病気は、風邪を引いた際の細菌が鼻から耳管を通って中耳に侵入することで発生することが多いため、特に風邪の初期や回復期に注意が必要です。耳管は鼻の奥と中耳をつなぐ細い管で、特に小児では大人に比べて短く太く水平であるため、炎症が起きやすいとされています。

副鼻腔炎を患っている子供では、不適切な鼻のかみ方や鼻をすする癖が中耳炎を引き起こす可能性があります。さらに、夏場のプールや海水浴は、耳に水が入ることで感染のリスクを高めます。これらの状況において、中耳炎の発症に警戒することが大切です。

急性中耳炎の治療においては、原因のほとんどが細菌感染であるため、抗生物質と消炎鎮痛剤の投与が一般的です。外来治療では、耳の中に薬をしみ込ませたガーゼを入れることがあり、症状が重い場合には鼓膜を切開して膿を排出することもあります。自宅での治療には、入浴を控え安静にすることが重要です。中途半端な治療は症状の慢性化につながるため、処方された薬を適切に服用し、医師の指示に従って定期的に通院することが不可欠です。通院期間は通常1週間から10日程度を要します。

治療後も再発の可能性があるため、通院を終えた後の2~3日間は、耳痛の有無に注意を払うことが推奨されます。急性中耳炎は早期発見と適切な治療により管理できますが、症状の見逃しや治療の遅れは合併症を引き起こすリスクを増加させるため、症状に気づいたら早めの医療機関への受診が重要です。

尚、治療を行った後も再発する場合がありますので、 通院終了後2~3日間は耳痛が起きないかどうか注意が必要です。

滲出性中耳炎

耳管狭窄症~滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)

滲出性中耳炎は、中耳に液体がたまる状態を指し、耳の不快感や聞こえの悪化などの症状を引き起こす耳の疾患です。中耳と上咽頭は約3.5cmの耳管でつながっており、この耳管は普段は閉じていますが、飲み込んだりあくびをしたときに開き、中耳の圧力を調整する重要な役割を果たしています。

この耳管の機能不全が、滲出性中耳炎の主な原因となります。耳管が炎症やアデノイドの肥大、上咽頭腫瘍などによって狭くなると、中耳内の圧力が低下し、その結果鼓膜が内側に引っ込むことがあります。これにより、耳が詰まった感じ、難聴、耳鳴り、自分の声の響きなどの症状が現れ、日によって症状が変化することが特徴的です。特に幼児や高齢者に多く見られ、幼児では症状を自分で訴えにくいため、親がテレビの音量の大きさや返事の無さなどから気づくことが多いです。

治療には、耳管の通気を改善する方法が一般的です。成人の場合は、鼻に金属の管を入れてポンプで空気を送る方法や、上咽頭や鼻の炎症に対する処置が行われます。幼児では、鼻からゴム球で空気を送る方法などが用いられます。これらの通気法が効果を示さない場合は、鼓膜に注射針を刺したり、メスで切開して液体を排出する手術が行われることもあります。さらに耳管の機能不全が重篤な場合は、鼓膜にチューブを挿入することもあります。

チューブ留置術やアデノイド切除術は、特に幼児では全身麻酔が必要となり、一日または一週間程度の入院が必要になることがあります。鼓膜にチューブが挿入されている間は、水泳を避け、入浴時には耳に水が入らないよう注意が必要です。また、通気療法中にめまいを感じたり、液体の排出が止まらない場合には、速やかに医療機関への相談が推奨されます。

※なお、鼓膜にチューブを挿入している間は、チューブの穴から外へ滲出液が出ていきますが、逆に穴を通して外から耳の中に水が入ったりする恐れがあります。そのために化膿性中耳炎になることもありますから、入浴の際は耳に水を入れないようによく注意してください。

外耳道炎

耳の痛みを訴えて来院する患者さんにみられる外耳道の皮膚炎で、耳の奥からおよそ1cm以内(骨部外耳道)によく起こります。原因は、耳かきや不潔な指で耳そうじをした小さな傷に細菌がはいるために起こりますが、子供ではプールの後やお風呂で潜ったりして耳が痛いといって来院することも多くみられます。軽症では皮膚の充血だけですが、重症では耳だれがみられ、さらに鼓膜に炎症が移ったり耳の周囲が腫れたり、リンパ節炎を起こすこともあります。

治療は、通院によるきちんとした外耳道の消毒と抗生物質の内服が必要です。

外耳道湿疹

耳の中のしつこい痒(かゆ)みを訴えて来院する患者さんに多くみられる疾患です。これは、外耳道の皮膚に機械的な刺激が加わり過ぎることで湿疹が引き起こされるもので、実際には、ほとんどが「耳そうじのし過ぎ」によるものです。これはかけばかくほど痒くなるため、患者さんはしつこくいじるようになり、最後には皮膚を破って耳だれが出るようになります。さらには、感染を併発して外耳道炎に移行することもあります。他には、シャンプーや白髪染めが耳に入って皮膚がかぶれることもあります。

治療は、局所を安静にしていじらないようにし、軟膏を塗布します。化膿しているような場合には、抗生物質が必要になることもあります。要するに、普段から必要以上に耳そうじをし過ぎないことが大事です。

突発性難聴

ある日突然にバタッと片方の耳が聞こえなくなり、耳鳴りがしてくることがあります。人によってはめまいを伴う場合もあります。外来で検査をすると、聞こえの神経(聴神経といいます)が障害されており、重度の難聴が認められます。これを突発性難聴といいます。原因はいろいろな説がありますが、未だよくわかっていません。ただ寝不足が続いたとか、ストレスがたまっていたとか、ゆうべ飲み過ぎたとか、風邪をひいた後だとかいう状況で起こることが多いようです。一般に神経障害による難聴は治らないとされていますが、この疾患は例外で、発症初期にきちんとした治療を行えば、半分以上の患者さんに聴力の改善がみられます。

治療は、その開始時期が早いことが大事で、発症後10日以内(できれば7日以内)に開始しなければ回復する可能性は急激に低くなります。治療の内容は、まず安静が何より大事で、そのために入院が必要です。入院後は、聴神経に栄養を送る血管の循環を良くするために、首の自律神経に注射をし、また血管拡張剤の内服や注射をします。神経自体の回復をねらって神経賦活剤と神経作用性のビタミン剤を投与し、ステロイドというホルモン剤も用いられます。難治例では高気圧の酸素の部屋に入る治療を行うこともあります。入院期間は2~3週間必要で、退院後は外来で経過観察を行います。発症後1ヶ月を経ると神経障害は固定し、治る可能性はほぼなくなります。再度強調しますが、治らないとされている聞こえの神経の障害のなかで例外的に回復する可能性の高い病気ですから、早期に安治療を開始することが何より大切です。

突然原因不明に起こる片側の感音難聴(おもに内耳性難聴)を総称して突発性難聴と呼びます。患者様によって難聴の程度はさまざまですが下記23の初発例を含め突発性難聴として治療することもあります。治療の主体はステロイド薬になりますが、副作用として糖尿病、胃潰瘍、緑内障などを悪化させることが知られていますので、これらの病気がある場合には申し出て下さい。他の治療薬としてはビタミン剤や循環改善薬や漢方薬が用いられます。

低音域の聞こえが悪くなる疾患について

低音域だけが聞こえにくくなるタイプの難聴があります。耳が詰まった感じやボ〜ッという耳鳴りで受診されることが多く、聴力検査を受けてはじめて難聴が判明することがあります。

メニエール病

メニエール病は、内耳の異常によって引き起こされる疾患で、その典型的な症状には、めまい、難聴、耳鳴り、耳の圧迫感が含まれます。特に注目すべき点は、メニエール病が単にめまいを伴うものだけではないということです。実は、めまいを伴わずに低音域から徐々に進行する難聴を主症状とするタイプのメニエール病も存在します。この症状の違いは、メニエール病が多様な形で現れることを示しており、診断と治療において留意が必要です。

この疾患の原因は、内耳にある内リンパ液の過剰な蓄積、すなわち内リンパ水腫が挙げられます。内リンパ液の圧力が異常に高まることで、聴覚や平衡感覚に影響を与えることが知られています。この水腫(水ぶくれ)の形成がメニエール病の主要な原因とされており、これに対処するための治療法として、利尿剤の使用が一般的です。利尿剤は内リンパ液の量を減少させ、症状の緩和に寄与します。

メニエール病の治療には、他にもビタミン剤や循環改善薬が用いられることがあります。これらの薬剤は、内耳の血流を改善し、内リンパ液の圧力を正常化するのに役立つと考えられています。治療は症状の重さや患者の全体的な健康状態に応じて異なるため、正確な診断と個々の患者に合わせた治療計画の策定が重要です。

メニエール病は完治が難しいとされていますが、適切な治療と生活習慣の管理によって、症状のコントロールと生活の質の向上が期待できます。早期発見と治療の開始が、長期的な病状管理において非常に重要です。

低音障害型感音難聴

低音域の聴力の変動や耳閉感を繰り返しますが長期的な聴力の悪化は少ないです。治療は上記メニエール病と同様です。