慢性副鼻腔炎(蓄膿症)

鼻(鼻腔)の周囲には、副鼻腔といって鼻につながる空洞があります。主な副鼻腔は、低いほうから順に、頬の骨の中にある上顎洞、目と目の間にある篩骨洞、眉毛と眉毛の間にある前頭洞などがあります。

副鼻腔には正常では空気が入っていますが、細菌の感染によって副鼻腔に膿(うみ)がたまったり粘膜がはれたりしたものを副鼻腔炎といいます。症状は鼻漏(汁がたれること)、後鼻漏(のどに鼻汁がおちる)、鼻づまり、頭痛・頭重感、はな血、臭いの障害などで、子供では注意力が散漫になるために物覚えが悪くなり、学校の成績が落ちたりします。またハナをすする癖のある子供では、中耳炎をおこし易いので注意する必要があります。小児の咳が続く場合には蓄膿症が気管支炎の原因になっていることもあるので注意が必要です。

治療は15歳未満では顔面の骨が成長途中のため、手術は行わずに保存的な治療が主体となります。具体的には消炎酵素剤の内服と、抗生物質に少量のステロイドを加えた液のネブライザー療法を行います。通常3ヶ月の通院が必要です。なお、治療中は自宅や学校で、片方づつきちんと、まめにハナをかむ習慣をつけさせて下さい。治療開始後、しばらくの間はかえってハナが多く出るようになります。これはいままで副鼻腔に溜っていた濃い膿が薬の効果で溶け出しているのですから心配いりません。ただハナのかみ方が悪いと化膿性中耳炎になることがあり、また鼻内にハナを溜めておくと治りが遅くなりますから注意してください。食事では偏食を避け、充分にビタミン(特にB群)や蛋白質を採る必要があります。15歳以上の場合もまず外来で保存的な治療を行いますが、有効でない場合には手術の適応となります。

鼻茸(はなたけ=鼻ポリープ)

副鼻腔の粘膜のはれがひどくなると、ふくれすぎた粘膜は鼻とつながる連絡路から鼻の中へあふれでるようになります。そのため、鼻をのぞいてみると赤く腫れたり水ぶくれになった粘膜が充満しており、これを鼻茸と呼んでいます。鼻茸があると当然ながら鼻づまりがひどくなりますから、鼻茸を取る手術が行われます。しかしこれだけでは副鼻腔の中に鼻茸のもとが残っていますので、しばらくすると(数ヶ月~数年後)また同じ所に鼻茸が顔を出します。このことから(きのこ)の名前が付いているようです。要するに鼻茸は「重症の蓄膿症ですよ」という警告ですから、これが出たら蓄膿症の根本的な手術が必要です。